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『神の国へのそなえ』 2020年5月10日

【聖書箇所】 使徒言行録 1章1—5節 【説教題】 「神の国へのそなえ」 【説教】 石丸泰樹牧師 一、主のご受難からご復活までヨハネ福音書を読んでまいりましたが、主のご昇天(今年は5月21日)と聖霊降臨日(5月31日)まで使徒言行録を共に読んで参りましょう。ルカの綿密な資料収集と優れた編集によって、この言行録は21世紀の混迷と無秩序の中に生き、伝道と証しに喜びをもって献身していく私たちの根津教会に大きな信仰の賜物と力とを与えて下さるに違いありません。 二、言行録には、ユダヤ教の暦に関係させて教会の伝道、集会、会議などの出来事が記述されたり、教会の伝道に関係した実在したローマ総督の名前、イスラエルの支配者名等が出て参ります。初期の教会の活発な働きや苦労などに感動したり、深い感謝を覚えたりさせられます。私たちの日本の教会は宣教第二世紀に過ぎません。言行録の物語から多くの励ましや示唆を与えられるのです。人命や地名などは共同訳聖書の巻末にある「用語解説」が理解を助けてくれます。また「聖書事典(日本キリスト教団出版)」などは、もう少し広い分野について教えてくれるものです。教会に備え付けられていますので、現在の「自粛呼び掛け」が終了しましたら、どうぞご利用下さい。 三、「言行録」の著者ルカは、ルカ福音書と共に、この言行録をテオフィロさまに捧げています。この「テオフィロさま」についてはほとんど何も分かっていません。名前はテオ(セオス)は神、フィロ(フィレイン)は愛する、の二語からなる名前で「神に愛された人」の意味で、高位の役人であったともいわれていますが詳細はわかりません。歴代ローマ教皇にはこの名の人物はいませんが、初代教会の司教の中にはこの「神に愛された人」を名乗る方も数名います。二世紀、180年頃アンテオケで活躍したテオフィロスは父なる神、子なるキリスト、聖霊なる神の「三位一体」を表現する言葉として「TRIAS」を神学用語として初めて用いたといわれています。AD400年頃、北アフリカのアレクサンドリアで働いた総主教テオフィロはコプト・シリア教会で奉仕し、正教会(東方オーソドックス教会)で聖人とされています。どちらにしても、ルカが使徒たちの働きを書き送って、主の福音を理解して欲しいと望んだこの人は、ローマの世界で指導的な立場についていた人でありましたでしょう。『自分たちの主と仰ぐお方は、ローマ帝国の秩序を乱す者ではなく、全世界の創造者にして、すべての人の救い主です』ということを、まず知って頂きたいということなのです。ルカからこの誠意に満ちた、二通の大部な文書を受け取ったテオフィロは、恐らく心を深く打たれ、ナザレのイエスを自分のまことの救い主と信じて、清らかな信仰に生き、奉仕と宣教に生涯をと捧げたのではないかと思います。後代の同じ信仰に生きようと思った人々の中に、「この名を頂いて生涯を捧げよう」という人々が出たということは、ルカは知り得なかった事ですが、天の主はどれほど喜ばれた事でしょう。  ルカは福音書(キリストの働き)に続いて教会の歴史を伝えることによって、ルカはこの世界が神様の救いの歴史(救済史)の中にあることを伝えたいのです。時代によって、悲惨な時期や安定した争いの少ない時期がありますが、それによって「因果応報の歴史観」に陥って、「天罰だ」と絶望したり「恵みだ」と傲慢になったりしないように、謙遜と感謝、忍耐と勤勉に生きる信仰生活をペトロ、ステファノ、パウロ等の生涯を教会の歴史的証言として示したのです。 四、主のご昇天は、主が霊の体に復活されて(朽ちない、輝かしい、力強いものIコリント15:42-43)、生きておられ、真理の霊であり、私たちと共にいて下さり、私たちの内にいて下さる(ヨハネ14:17)ことを40日にわたって多くの証拠をもって示して下さった後に、父なる神様と同じく、礼拝を受けるべき方として、弟子たちの目の前で天の神の右の座におられる方となられたできごとなのです。  主イエスが天におられることによって、地上の教会で行われるすべてのことが、天上のキリストの体なる教会の出来事となり、地上の洗礼が、一人一人への聖霊の満たしとなる。地上の聖餐の食事が、天上の永遠の命の祝宴の実現となるのです。    主イエスは2100年前、パレスティナの野を静かに歩まれただけの方ではなく、今天におられ、聖霊によっていかなる時にも、私たちと共におられるということを(マタイ28:20)現実に示して下さっているのです。  主イエスは弟子たちに話した後、天に上げられ、神の右の座につかれた。弟子たちは出かけて行って、至るところで宜教した。マルコ16:19,20  教会の頭なる主よ、根津教会と全世界の教会の上に宣教の力を豊かにお与え下さい。 【主の祈り】

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