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『真理とは何か』 2020年8月30日

【聖書箇所】 エフェソの信徒への手紙4章17−24節

【説教題】 『真理とは何か』

【説教】 石丸泰樹牧師

一、4章1節で「勧めます」と書いたパウロは、ここでさらに「強く勧めます」と踏み込んだ表現で、大切な内容に入っていきます。それは「もはや」です。後戻りしないで主イエスに従って生きて参りましょう、と言う事です。ガリラヤのナザレで育たれた、あの「人間イエス」を「真の救い主、神の子・キリスト」と信じる信仰と知識(エフェソ4:13)に立って、「このまことの救い主は、真の救いとして何を下さったのか」。「その救いは、私たち罪人にとってどれほどの価値があるのか」「そのお方が神の子であるなら、このような尊大な質問をしても許されるのか」「知性が暗くならぬように(4:18),光を求め」「心がかたくなになって、痛風のように心が固くなり、心が痛み続けることのないように」キリストを学び、キリストに聞き、キリストに教えられて、明確な認識と価値観からそれないで歩んで行きましょうというのです。

 17節の「勧める」は1節と異なり「証しする・証言する」で「血をもって証言する、殉教する」と言う意味にもなる「マルチュロマイ− 厳命する、懇願する」という語です。文字通り、パウロはこのお方を「神の子、主」と命をかけて証言して、殉教の死を遂げました。

二、当時、古代帝国や民族の宗教は、キリスト教以外はすべて多神教でした。ユダヤ教は発生以来唯一神教ですが、民族宗教の枠から今日に至るまで出ることはありません。こうした神々を信じる人々はその時々の必要に応じて神を選び、自分たちの欲望を実現してもらうための便利な「打ち出の小槌」のように神を利用しました。戦勝祈願、商売繁盛、無病息災、家内安全。自動販売機に必要なコインを投げ入れるように。こうすれば神は喜んで、ついに自分のために動くに違いない。祭儀を行い、神を喜ばせるために舞い、奏楽し、祈り、神と交渉しました。

 「お前たちの捧げる多くのいけにえが わたしにとって何になろうか、と主は言われる。…雄牛、子羊、雄山羊の血をわたしは喜ばない。…誰がお前たちにこれらのものを求めたか…むなしい献げ物を再び持って来るな(イザヤ1:11–13)」

 隣人の姿が見えなくなり、自分が何をしているかも分からなくなった者の心は、「神の命から遠く離れています(4:18)」。とパウロは心配しています。聖書からキリストについて聞き(4:20)、キリストに結ばれて教えられつつ歩むのです(4:21)。

三、天地創造の神の世界秩序と歴史を学び(エフェソl:4)、人間の歩むべき道筋についての一貫性や秩序を示され、人生や世界についての理解を学んで参りましたね。これらのすべてが「真理」です。すべては主イエスの地上のご生涯の事実と、語られたみ言葉と、十字架のご受難とご復活の目に見える永遠の愛の歴史的証言(エフェソ3:18,19)。パウロはこれらを学んだ筈です、と強く証言するのです。パウロは「着る、脱ぐ。古い人、新しい人。」に譬(たと)えて信仰生活を説くのが好きなようです。ローマ13:14、Ⅰコリント15:53、ガラテヤ3:27、コロサイ3:12、14。このエフェソの信徒への手紙では「神にかたどって造られた新しい人を身に着けなさい」といいます。神様にかたどって、主イエスがみずからオーダーメイドで私たち全員にぴったりする「クリスチャン生活」を、嬉しくて堪らないという表情で縫い上げて下さっています。全能の愛の御力がすべてを成し遂げて下さいます。

  主よ 感謝します。

     あなたの用意して下さったクリスチャン生活に大満足です。アーメン

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