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『からだ全体が一つの命』 2020年8月23日

【聖書箇所】 エフェソの信徒への手紙4章7−16節

【説教題】 『からだ全体が一つの命』

【説教】 石丸泰樹牧師


一、先週申し上げましたように、4-6章の内容は、恵みの神様の摂理の中で、教会の果たすべき役割についての丁寧な勧めです。

 その役割とは「キリストの賜物にしたがって与えられている恵み」です。「恵み」はカリスです。カリスマ何々と言われる、あのカリスです。その人に特定して与えられ実現している、何か素晴らしい「賜物」のことです。カリスマ料理人、カリスマ美容師、カリスマ医師等々。ドイツ語や英語では職業と召命は同じ単語で表すことができます。自分の仕事への喜びと感謝を持てると言う事は「恵み」とも言えるのです。神への感謝と人々への愛を生涯証ししながら生きるのです。

二、何時その賜物は与えられるのでしょうか。パウロは詩編68編を引用して説明します。それは、キリストのご復活とご昇天の時です。不幸や悲しみの根源、人の祈りや修業にからみついて人を絶望に引きずり下ろそうとする罪や死の力を絶滅させ、まだ残る不安や迷いの影を主は振り切って下さって、人には不可能であった陰府(よみ)から勝利の光の世界への道を切り開いて下さいました。その復活の世界への愛の凱旋行進の時、弟子たちも、信仰深い女性たちも全く半信半疑で、何をどう信じていいか、うろたえて分からないでいた時、トマスは「わたしの主、わたしの神よ」と最高の信仰告白を捧げました。「信じます。不信仰な私をお助け下さい」と叫んだとき(マルコ9:24)。フィリポからイエスの福音を告げ知らされ、エチオピアの高官が「わたしは、イエス・キリストを神の子と信じます」と答えたその時、聖霊が下り、キリストの賜物のはかりに従って、「恵が」あたえられたのです。「私は、イエス・キリストを神の子と信じます」この信仰告白こそ第一の飛び切りのカリスです。

三、この恵みの賜物は人の数だけの多種多様な輝きと力をもって、一人一人の内側からその人を輝き出させるのです。一人一人のキリスト信徒が成長し、教会の中で成熟します。活性化した教会はどんな民族、文化の中においても成長を続け、多彩な証しの業に努め、次々に起こるどんな問題に当たっても、主のみ言葉の具体化の方法を必ず見出します。「風のように変わりやすい教え」−確かな根拠のないうわさ、仲間の失敗やつらい状況をおもしろおかしく、尾ひれをつけて話してまわるような −生き方から離れ、「愛に根ざして真理を語り」、キリストの命に既に招き入れられていますから、「頭であるキリストに向かって成長していきます」。「いろいろの働きをする神の知恵(3:10)」このみ言葉は、精密で多様な色とりどりの刺繍、を現す言葉ですが、神のみ業はどの時代の、どの文化の中でも愛の美しさを、私たち小さな者を用いて織り成してきて下さいました。主イエスによって「愛の広さ、長さ、高さ、深さがどれほどであるかを理解」するようになった私たちは、「体なる教会の節々として補い合い、組み合わされ、結び合わされ」一人一人が参加し、分に応じて働くのです。「分に応じて」です。卑下するのでもなく、思い上がるのでもなく、「自ら愛によって」です。どんな災いの中でも、このコロナ禍の中でも、成長する教会と共に私たち一人一人も成長するのです。

 主よ、キリストの教会に生かされ、喜んで教会に仕えつつ歩んで参ります。アーメン


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